コレクティブ・探究/創造/構築 黄金芸術祭2019 コレクティブ・探究/創造/構築 黄金芸術祭2019
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コレクティブ・探究/創造/構築 黄金芸術祭2019

小池 陽子/ダンサー・振付家
2021.1.20

2019年度の実施報告書「フリツケカをイクセイする?」(2020年7月発行)から、名古屋プラットフォーム の小池さんのご報告をピックアップ紹介します。
なぜこのプロジェクトを行おうとしたか、2019年度の成果、どんな振付家を育成したいと考えているか、をお聞きしました。ぜひご覧ください。



なぜこのプロジェクトを行おうとしたか、当初目的に対する成果、そして今後の展望。


舞台作品は様々な分野のアーティスト、スペシャリスト達との共同作業から生まれるもので、振付家はイメージ、音、空間、言語などパフォーマンスを成り立たせることを総合的に理解しなくてはなりません。さらに「コンテンポラリー=同時代性」として、どのように世界を見て、いかに固定観念を解く仕掛けを施せるかということも作品を構築する上で重要になります。「コンテンポラリーダンスにおける振付家育成事業」として、ダンサー・振付家の視座を広げていくこと、つまり知的なアプローチにもフォーカスを向け、多角的な方向から創作の可能性について考察できる場を作りたいと考えました。そこで、dumb typeの音楽を担当するなど、常に世界の最先端を走り続けているコラボレーション巨匠である山中透氏にプログラムのディレクションをお願いし、ダンス、映像、照明で活躍するアーティストに講師・アドバイザーを依頼しました。


創作にはひとつの流れとしてのプロセスがあり、作品に繋がっていきます。プログラムでは創作のプロセスに焦点をおき、作品を完成させることだけに焦点がいかないようにするための工夫を常に検討しました。 その成果もあり、ディィスカッション、エクスチェンジが活発に行われ、参加者は自分とは違う視点に目を向け、異なる意見に耳を傾け、セルフ・リフレクションを繰り返しました。自分にとっての価値基準がはっきりした時にはじめて異なる意見との対話が可能になります。共同制作において、そういった価値基準の多様性を理解することが創作の質を高め、新たなものを生み出す可能性を持つことを改めて認識しました。山中氏も参加者が何に向かおうとしているか、つまり本質を明確にしていけるように、常に対話をすることに時間をかけていました。様々な問いを投げたり、見ていて重要と思うポイントを示したり、それを可視化し作品に反映させるためにどのようなテクニックが必要かということを考える示唆を与えたりする、いわゆるドラマトゥルグ的な役割です。日本では、一人のアーティストが良くも悪くもトップダウンで進め、すべてを背負うカタチでダンス作品をつくることが多いのですが、一緒に考え、交通整理をするドラマトゥルグとの共同作業の有効性を参加者が認識する機会になったのではないかと思います。

感覚による認識、知覚可能なものなどの情報は、その他の感覚と一体となって身体知となります。政治、環境、経済システムへの感情、未来への更新と期待や絶望、様々なレイヤーが現代の私たちの身体感覚の鏡であり、身体によるパフォーマンス性、表現と平面の関係にあります。身体は生活してきた、また生活している社会や環境の影響下にあり、決してそれから切り離せません。それぞれインディヴィジュアルな身体の中には、いろいろな社会性が詰まっています。コラボレーションしていくこと、他の社会性、バックボーン、テクニックをもつアーティストと一緒に作品をつくることは、いまの自身を俯瞰する手段でもあり、それぞれの身体自体がひとつのテクニックであるということへの気づきをも与えてくれます。「知ること」、それが「理解」につながります。今回のプログラムに関わった方には「他者を知る=自分を知る」という場面が、少なからずあったと思います。そういう意味においても貴重な一歩を踏み出せました。

このようなプログラムは、振付家育成のために欠かざるべきものですが、時間がかかり、地道な作業でもあります。プログラムが行なわれたからといって、性急に状況の改善に結びつくことはありません。どんな場面においても人材が育つにはある程度の時間を要するため、なによりプログラムの継続性が重要となってくるのですが、このような文化事業に対して行政の理解を期待することは難しく、どんなアイデアを持ってプログラムの継続に向かうかということが、今後の課題です。

あなたは、どういう振付家を育てたいと思いますか。

また、そうした振付家を育てるために、何が大事だと考えていますか。


ダンスにおいて動きをつけることを、狭義の意味での「振付」と表現することもありますが、このプログラムにおいての「振付家」は、ムーブメントの創出・構築だけでなく、空間全体を作品として統合する力、演出力も含めての振付家としています。日本において、振付家はダンサーを兼ねていることが多く、それゆえに作品の方向性がダンス技術に依存してしまうことが多いように感じられます。

コンテンポラリーとは、同時代性「いま、ここ」ということであるならば、振付家が世界をどう見て、どう切り取るか、ということも重要なことです。そのために振付家は、トピックに対して多様な視点から考察し、テーマやコンセプトを導き出し、固定観念を解く仕掛けを創出し、直接的もしくは間接的に何をどのように扱い、表現するか、そういったことを考えます。世に起こっていることに対する自身の解釈と問いを持ちながら、ダンスによる表現をアップデートしていくこと。そこが創作ダンスとコンテンポラリーダンスとの違いとも言えます。

ここで定義したコンテンポラリーダンスにおける振付家の育成においては、ダンス技術を一つのツールとして捉え、それ以外の要素にも意識を向けるための知的なアプローチをプログラムに組み込むことが大事だと考えます。そして、アタマによる思考と身体による思考を常に行き来することを意識していくことも。身体の反応からも問うてみる。そうしないと過度にコンセプチュアルになってしまって、身体で表現するというダンスの本質が損なわれてしまいます。 さらに、作品を演出家や振付家のもとで構築するだけでは、方法やプロセスを考える機会があまりなく、作品を完成させることだけに意識がいきがちになるので、創作のプロセスにフォーカスし、対話を通して実験を繰り返すことも大事なことだと考えます。

(コンテンポラリーダンス・プラットフォームを活用した振付家育成事業「ダンスでいこう‼」2019報告書 フリツケカをイクセイする? 第二章p70—75)

小池 陽子 Yoko Koike

バレエダンサーとしてキャリアをスタート。2008年から活動のフィールドをコンテンポラリーダンスに移行し、創作活動を開始。フェルデンクライス・メソッドのアイデアを取り入れ、身体と感覚の気づき、感性を刺激する表現を追求し始める。その後、ダンサー・振付家としてアジア・中東・東欧などで数々の舞台や国際フェスティバルでダンスのキャリアを積みながら、音楽、ビジュアルアート、文学、舞踏を学ぶ。アーティストとして活動する傍ら、2017年“SAI International Dance Festival”、2018年“DANCERS’ NEST”、“Dance House黄金4422”などの企画や運営、振付家育成事業プログラムとして「コレクティブ・探求/創造/構築」に尽力するなど、プロジェクトの企画・制作を担う。2019年より名古屋学芸大学メディア造形学部映像メディア学科にて非常勤講師を務める。http://yokokoike.com

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文化庁委託事業「令和2年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
主催:文化庁/NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)
各地共催・制作・協力:北海道コンテンポラリーダンス普及委員会/ダンスハウス黄金4442/Dance Camp Project/
城崎国際アートセンター(豊岡市)/NPO法人DANCE BOX/FREE HEARTS/広島市安芸区民文化センター/C3/Contact Choreograph Crossing/
一般社団法人ダンスアンドエンヴァイロメント/micelle/あけぼのアート&コミュニティーセンター(札幌)/ボディ・アーツ・ラボラトリー/
NPO法人コデックス/ダンスヒストリー・スタディーズ/Dance New Air(一般社団法人ダンス・ニッポン・アソシエイツ)/
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