SUMMARY POINTSプログラムの特色

  • 何が自分に必要なのかを自ら考え、自らの育成プログラムを企画する。
  • これからのアーティストに必要な、セルフマネジメント力と他者との対話力を育てる。
  • 劇場でのクリエイションと考察。
  • 公募中
  • 公募終了
  • これから

DANCE ARTIST VIEW2020
「セルフカルチベート企画」

NPO法人DANCE BOX
  • 公募中
  • 公募終了
  • これから

DANCE ARTIST VIEW2020
「セルフカルチベート企画」

SUMMARY POINTSプログラムの特色

  • 何が自分に必要なのかを自ら考え、自らの育成プログラムを企画する。
  • これからのアーティストに必要な、セルフマネジメント力と他者との対話力を育てる。
  • 劇場でのクリエイションと考察。
従来の育成プログラムの様な〈教える-習う〉という方法ではなく、アーティスト自身が個人単位で目指している所、不足している所を〈考察〉〈分析〉〈明確化〉し、自己育成のプロジェクトプランを立てて実行する。また、客観的な目としてアドバイザーにも入ってもらうが、あくまでもアーティストが主体。最後に成果を可視化する場として、確実に成果を出す事ができた方法で発表(作品上演とは限らない)を行う。

日程

2020年8月下旬〜2021年1月18日

会場

ArtTheater dB 神戸

神戸市長田区久保町6-1-1アスタくにづか4番館4階

「セルフカルチベート企画」公募要項(参加アーティストの公募は終了しました)
① ダンス井戸端会議 「ダンスを外から見つめる・語る(仮)」
②庄 波希「空間と身体の関係性の研究」
③Alain sinandja「How to make an artistic folder」
④上野愛実、内田結花、中西ちさと、中間アヤカ「コンポジション実験クラブ(CEC)」
【活動レポート】
庄波希
「空間と身体の関係性の研究」
【活動レポート】
コンポジション実験クラブ(CEC)
「スコアのある即興会」
【活動レポート】 
ダンス井戸端会議
【活動レポート】
Alain sinandja
「How to make an artistic folder」

★参加アーティストの公募は終了しています。
★2020年度の参加アーティストは、① ダンス井戸端会議  ②庄 波希 ③Alain sinandja ④上野愛実、内田結花、中西ちさと、中間アヤカ です。
[募集条件]

・活動経験3年以上の若手振付家。
・参加条件として、プロジェクト費20万円以内を支給。(1組あたり/4組程度採用予定)

[対象]

・活動経験3年以上の若手振付家。
・参加条件として、プロジェクト費20万円以内を支給。(1組あたり/4組程度採用予定)

[日程詳細]

【公募スケジュール】
7/30 募集締め切り(終了)
8/4 公開プレセンテーション(終了)
8/5 4組(予定)のプロジェクトメンバーを決定・発表(終了)
アドバイザーの決定後プロジェクトスタート

【プロジェクト全体スケジュール】
10月9日(予定)第一回ワークインプログレス(予定)
11月13日(予定)第二回ワークインプログレス(予定)
12月28日 成果発表
2021年1月18日 振り返り・反省会

[定員]

4組程度

[募集期間]

2020年7月30日 募集締め切り

問合・申込

NPO法人DANCE BOX
TEL 078-646-7044 / info@db-dancebox.org

<セルフカルチベート企画 選抜企画>

ダンス井戸端会議

狭義のコンテンポラリーダンスの領域の外にいる方々をゲストにお招きし、相互に対話をはかる実験的なトークイベントを年内に連続5回実施予定。一方的な講座やトークイベントではなく、相互に学び合い理解を深めながら共通項や相違点を探っていく。トーク内容はレポート化し、さらにそこから派生して考えたことなどをメンバー各自が掘り下げたコラムを綴る記録の部分も重要視しており、最終的にウェブマガジンとして公開する。ダンスの外の読者に読んでもらえる文章を書けるようになるために、まずはイベントをとっかかりとしたレポートからはじめることで、ダンスの外側を意識した情報発信ができるようになることを目指す。全体を通し、ダンスの外の⽅たちとの対話を通して、今後の活動のヒントとなるような新しい思考や視野を得るできるよう活動を進めていく。
ダンス井戸端会議

パフォーミングアーツに関わる、⽴教⼤学の映像⾝体学科卒業生有志たちで集まり雑談をする会。2018年10⽉発⾜以来、⽉⼀回のペースで開催。 公演や発表以外でなかなか情報共有をする場がなかったことから、まずは⾝近なメンバーでダンスについて考える会を開こうと雑談会からスタート。2020年より舞踊史などの勉強会としても機能している。今では立教以外のメンバーも加わり、15名ほどのメンバーが参加・活動する。

<セルフカルチベート企画 選抜企画>

空間と身体の関係性の研究

空間美術や建築、衣装といった様々な観点からのダンスを探り、劇場に籠もってリサーチを深めるプロジェクト。このプロジェクトは、自身が属するHIxTO(ヒクト)で今回の研究製作に取り組む。より多くの視点と実験を行う身体が必要である為、複数人のアーティスト/ダンサーが参加することで実践的な取り組みを行っている。

9月の取り組みでは、ロープを使った空間創りを行い、ロープに影響を受ける身体から振付を考察した。

アドバイザーにはファッションデザイナーや建築家を予定しており、外側から振付られたダンスを学びたいと考える。

-ヒトとヒトがクロスするHIxTO-
関西を拠点とするアーティスト/クリエイターが集結し、身体表現の舞台作品を展開している。
https://hixtodesign.wixsite.com/hixto/about

参考資料 (Dance Artist View)
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2020/09/09
https://youtu.be/yspERqzyHHg

2020/09/10
https://youtu.be/AfKiSDAR7zk
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演出家 / ダンサー:庄 波希

5歳よりダンスを始め、大阪芸術大学にて演劇を学ぶ。在学中の罹病体験より生と死を扱った作品への創作欲を持ち出し、それ以降は心と身体を通して実在している感覚に出会うことを探求している。尼崎姉妹都市派遣事業アーティストでドイツ アウクスブルクに滞在(2019) 京都芸術センター「raw-精神と肉体の展覧会-」演出・振付・出演(2020)

<セルフカルチベート企画 選抜企画>

How to make an artistic folder

This project is based on how to make an artistic folder.As dance- choreographer l want to put an accent  on creating work :first make it clear to myself and more understanding  to all people who can watch,at same time  work on how to keep processing on the stage and by writing.For that  l will make new work duet with  a long work in progress . In this work I am putting focus  on  personality and the ideology of the body to  show clearly by movement and gesture  inside the feeling . In this project l will also show  how much Japanese society affecting my daily life also my way of creating my Art , and the difficulty we  all face to survive as  contemporary choreographers - dancers in this country who has so many different  reality, society, community and the most challenging will be how face this new and real situation of  Coronavirus  in different way.
Alain Sinandja

SINANDJA Dakonyéme is better known under Alain SINANDJA, Dancer and choreographer  from TOGO residing in Japan, diploma in African traditional and contemporary dance at ECOLE DES SABLES in Senegal,founded by GERMAINE ACOGNY. He is   Artistic director or founder of  ARTS FOR ALL  dance company 2015 and Happy African Contemporary Dance Festival( HACDF), in Japan since 2018 .living in Japan making his own work also collaborating with Japanese Structure, choreographers and musicians like Kota yamazaki and Art theater Dance box kobe ,also teaching in different city of Japan like Kobe,Osaka and Tokyo.recently he  joined stay home project  online work  initiate by kobe city…

<セルフカルチベート企画 選抜企画>

コンポジション実験クラブ(CEC)

ダンサーが日々クラスに通って技術を維持し、さらに磨いていくように、振付家も構成について考え実験し意見を交わすことのできる場を持てないかという思いから、[コンポジション実験クラブ](CEC)を始めることにしました。 今回はArtTheater dB Kobeを拠点に4人の振付家兼ダンサーが参加し、今それぞれが興味があること、気になっていることからワーク内容を組み立て実験を重ねます。 まずは実際に踊りを制作するところから始め、それを基にダンス作品を構成の面から考察し話し合える思考の道筋を作ります。 ひとりでは着手しにくかった内容も、アーティストが集まることで互いにアイデアを出し合いチャレンジできる環境を整えます。 また劇場という場を活かし、照明や音響など作品作りに欠かせない技術と実験を共にするワークも考えています。 より多角的な視点から振付けの目線を養い、個人の考え方の癖や方向性、今の自分に必要なことを明確にしていきます。 日常的に振付家が集まる場を設けることで、これからのコンテンポラリーダンスのコミュニティのあり方を探る、長期的な実験の第一歩です。
上野愛実
内田結花
中西ちさと
中間アヤカ

空間と身体の関係性の研究 レポート #2(12月10日)




レポート担当 ハルヒ
参加メンバー:HIxTO (ハルヒ 川上真 小堀愛永 辻田康平 ciel△ Maciek Nowakiewicz 松田ミネタカ 庄 波希)、bode

振り付けられたダンスを探す

・ファッションブランドbodeの協力を得、バネの入ったドレスや長細い布が大量についた衣装などを身につけて踊ることで身体の動きにどう影響するかリサーチしながら振り付けられた。身体を動かすことが衣装の動きに影響し、そこからさらに身体の次の動きへ影響する。衣装なしでは表現できない身体感覚を得ることができた。(上下に跳ねることでバネが伸び縮みし衣装が揺れる→より衣装が綺麗に伸び縮みする飛び跳ね方を研究したり、バネの円状に広がったドレスを活かし回る振りを取り入れてみたりなど。身体を揺らすと細長い布が揺れ、その揺れに影響され身体が揺れる→停止する動きが減り、常に身体のどこかを揺らすようになるなど)

 



 

パフォーマンスの方向を探る

・踊っている最中にカメラマンをステージ上に投入し、お客さんに見られている意識の上にさらに撮られている意識が芽生えることで、身体の見せ方に変化が生まれることがわかった。映像として残ることが頭にあるので、動きに強弱がより生まれるように感じた。

・机と椅子、蛍光灯のオブジェのあるステージと、音楽と、身体。3つがうまく作用する瞬間を探る。音楽から広がる世界観を身体に取り込みつつ、机や椅子、蛍光灯のオブジェがあるステージという場所をいかに世界に引き込むか。ただ外的要素に振り付けられるだけではなく、それを表現として表出するリサーチも行った。

全体を通して、新たな身体の使い方や捉え方の幅が広がったように思う。外的影響からの振り付けにさらに内的影響のパワーが加わることで、さらに発展したダンスが生まれるのではないかとこれからに期待が高まる。今後も影響を受ける新たな美術、環境は絶対にあるので日々それらを取り込んでいき、もう一歩また一歩進化した身体とダンスをつくりあげられたら。

空間と身体の関係性の研究 レポート #1(~11月中旬)





レポート担当:川上真

【参加メンバー】HIxTO(川上真、ハルヒ、小堀愛永、井場美穂、黒田健太、タイラナオキ、アンジェ、ciel△、ひらひら Maciek Nowakiewicz、庄波希)

【内容】 空間と身体の関係性の研究
我々は空間という外部から受ける影響によって振付を作っていくことが出来るのかという研究を行った。9月から実際に劇場を利用させて頂き、研究を重ねた今の段階での結果としては、以下のような結果を感じた。

動きを演出する方法を探る。

・踊るための空間を作り、その空間の持つ印象やイメージから動きを作っていく。そこからさらに今度は空間も動きのイメージに寄せていき、振付と空間を同時に作っていく。→見え方の変化や、動きの質がただ踊るよりもよく見えた。

・何もない場所では生まれないようなものに動きの質が変わっていき、またその動きにリアリティを持たせることが出来た。
9 月半ばには、空間美術とそこにおける身体の関係性を自ら体感するため、香川県の瀬戸内海にある直島、豊島へ調査に向かった。印象的なのは、豊島美術館。来場者の身体は空間に溶け込み美術館内に存在する水や空気とヒトの身体が同じ物質であるかのように空間の中に存在していた。
また、普通の劇場空間と同じ閉鎖空間であっても身体の見え方はかなり違った。人工的な建物の中でも自然の中にいたような状態で身体を動かすことが出来、外の空間を内に持ってきているように感じた。劇場でもそのような空間を作る事が出来れば身体をまた違った見せ方が出来るように思う。そして逆に劇場空間を外に作り出すことも出来ればその対比を生かした振付が考えられるのではないかと思った。
この結果を踏まえ、空間の中で完結されていないアクティングスペースより外へアプローチをかけられる空間と、その空間に身体を乗せ空間との融合、そしてスペース外とのつながりを10月、11月ではクリエーションを通し調査を行った。

・動きをつけることによって、空間を見ただけの時とは違う視野を得られ、結果空間の見え方が変わる。

・今回使用した道具(糸)はアクティングスペースと、スペース外を結びつけるにはとても良い効果があった。
全く同じ道具を使っていても、セットの組み方によって空間と身体の繋がりが変わる。1日目では狭く感じた空間が同じ場所であっても本日 2 日目のクリエーションでは空間の広がりを感じた。

・空間を自ら作ることにより、自分の中から生まれた動きだと空間とマッチせず違和感があったが、空間から影響を受けた動きや振り付けは、空間ごと振り付けたような振り付けを生むことができ見ていて面白いと感じる動きを生み出すことができた。

空間に演出される身体

・空間にとって自分が必要である存在になるにはどうするかを考えながら動くことにより身体が空間に振りつけられた状態となる。
以上のような点が挙げられた。

ここまでのクリエーションから生まれた動きを整理していった結果、実際に振付として動きのサンプリングを行うことが可能であった。
空間と身体の関係性を探るところから生まれる動きを振付として扱うのは今までの我々の行ってきた振付方法とは真逆のものであり、リサーチとしては面白い振付を生み出すことが出来たと思う。
ただ、空間を作るための素材に関してのリサーチが甘く使用する道具や材料に偏りが見られるので 11 月後半からはまた別の衣装やファッションというアプローチから振付をクリエーションする方法を探っていきたいと考えている。

コンポジション実験クラブ 活動レポート#4


「音作りの会」 レポート担当:中間アヤカ


CECのワーク内容を決める際、メンバーそれぞれが興味のあることや学んでみたいこと、この場で実験してみたいアイデアなどをそれぞれ持ち寄った。これは私が提案し実現に至った「音作りの会」のレポートである。
以下が計画したプラン内容。

☆目標
踊りと切っては切れない関係にある音楽が振付におけるコンポジション及び身体に与える効果を理解する。プロジェクト内で行う他のワークの際に実際に使える曲を制作する。

☆計画
アドバイザーにワークショップの提案。音楽家からの目線と振付家/ダンサーからの目線で音楽がコンポジション(舞台や映像など形態は問わない)に与える効果について意見交換する。
"ここでこんな音が欲しい"というイメージを実際に形(曲)に起こすための制作手順をアドバイザーの助言のもと試してみる。コンポジションや即興を場に起こす際に、その振付及び身体に影響を与えることのできるひとつのアイテムとしての音を創作する。

☆その他
アドバイザーと要相談だが基本的には1回限りのWS形式で行う。その後プロジェクトメンバーが自主的に曲作りを継続する場合はアドバイザーによる経過観察を検討しても良い。

☆次への課題
制作した曲をプロジェクト内で行うワークの際に使いその効果を検証してみる。また、この会で身に付けた音の知識や制作方法をカルチベートプログラムが終わったその先でも活用することができ、メンバーそれぞれの創作活動にもプラスになる点があればなお良い。

上記の計画を元に、「音作りの会」ワークショップの準備を進めて行った。アドバイザーには音楽家、ラジオDJ、大阪音楽大学の講師など音にまつわる多様な活動をしている江南泰佐さんにお願いした。

開催日は2020年11月20日(金)15時から19時の4時間。会場はダンスボックス。
自己紹介もそこそこに、まずはこの日のためにメンバーがそれぞれ事前に集めてきた録音をみんなで聴いた。電車が発車する時の音、やかんのお湯が沸いた音、喋り声などなど。それらの素材の音を重ね合わせて曲にする(この作業を「ミックス」と言う)ため、フリーソフトをダウンロードし、使い方を教えてもらう。ミックスの作業に加え、打ち込みという技術も教わった。ピアノ音、ドラム音など、様々な音をパソコンのキーボードを叩いて打ち込むことで曲が出来る。これらを自由に使いこなせるようになるまで結構な時間がかかった。



ソフトの扱い方に慣れてきた頃、DJプレイをやってみることに。まずは使いたい音を決め、それを順番に重ねてみたり、巻き戻してみたり。機材を繋いで、そのプレイを同時に録音することで最終的に1つの楽曲が出来る。CECの他のワークに「スコアのある即興会」という即興で動くダンスの会があるのだが、そこではいつも音楽担当を1人決め、動きに合わせて(または合わせずに)即興的に好きな曲を選んで流すことが多かった。これまでの私たちに出来ることといったら音のカットイン、カットアウト、フェードイン、フェードアウトくらいだったが、これからは一味違う音の繰り出し方が可能になるということ。まさに即戦力として使える技を習得した!

劇場のスピーカーから音を出してみる。普段振付家・ダンサーは本番に向けてのテクニカルリハーサルの際に音響さんと一緒に音のチェックをするが、どういう言葉で伝えて進めていけば良いか私にとっては長年の課題であった。音響さんから「どうですか?」と聞かれてもどの部分をチェックすれば良いかがそもそも分からなかったり、今さら聞けないような疑問をこの機会に江南さんに1つずつ答えてもらい解消していった。



最後にメンバーそれぞれが作成した楽曲データを保存してワークショップ終了。パソコンの画面に表示されたファイルを見て、オリジナルの曲がこの世に生まれた事実に感動した。この日作った楽曲や、身に付けた技術は今後のCECでのワークや個人の創作活動に役立つ日が必ず来るはずだ。
メンバーと江南さんと「またやりたいね」と話す。踊りと切っては切れない関係性にある音について、知識をつけたい振付家やダンサーは私たちの他にもたくさんいるはず。今回はプロジェクト内で1回限りの開催だったが、今後機会があればもう少し大きな会としてオーガナイズしてみたいと思った。



コンポジション実験クラブ 活動レポート#3


レポート担当:上野愛実

「ダンスについて多くの人と話せる場を日常的に持ってみたい」コンポジションについて学ぶ場をここ数年の間に経験したことから、そのような場を継続することが今の自分に最も必要なことだと考えた。
これを続けた先に何が起こるのかを知りたい。さらにこれからのコンテンポラリーダンスのコミュニティの在り方を考えたいという思いがCECの出発点だ。
作品のクリエーションでもなく、技術を習得するでもない。話すために踊り、踊るために話すことで自分のダンスへの向き合い方・プロセスを新ためて問い直す時間になった。

CECは内容を参加者全員で作り上げることを目標にした。
ワークごとに提案者が進むべき方向を決定してはいくが、アイディアや意見はその時一番必要な物をみんなで話し選んでいった。WSのように教える人と教えられる人に分かれるのではなく、皆が当事者意識を持って場を作ることは可能なのか?ということが知りたいためでもあった。
また近年さらに多様化している振付家の仕事とダンサーの仕事の境界を[振付家・ダンサー]の両方の立場から関わることで考えてみることにした。

振付けること、振付られること、その他ダンスにまつわるあれこれを丁寧に観察し言葉にし、とにかくざっと洗い出してみる。今までなら疑問に思っても素通りしたり、時間がないから誰かの意見で決めていくしかなかったことも、ここでならとことん話あえる。すぐに答えは出なくても、予想もしないタイミングでまた話題に上がってきて解決したり、踊ることで徐々に理解が深まることもあった。ワーク外、ロビーで話した雑談も最後にはダンスに繋がっていくのはとても興味深かった。

また偶然ダンス留学卒業生の稽古をメンバーと見る機会があり、その後振付家と話す時間があった。まず私たちの休憩中に「ちょっと見てくれへん?」と頼まれて意見を言い合える気軽さがとても心地よかった。それぞれが自分の目標に向かって進んでいく中、dbというポイントで出会い対話し、それが栄養となってまた自分の制作を進めていける。dbがあってダンス留学があってそこに集まる人との長い月日があって生まれるコミュニティがある。地道で大切なことを思い起こすことができた。

そしてメンバーだけでなく、外部参加者の方との対話から自分のダンスへの姿勢を知ることもできた。
初めて作品を作った時から根本には「人の言動が踊りになる瞬間」に興味があって、そこに人間の本質の美しさを見ている。
わたしは踊りをしているので何を見ても踊りに繋がっていくのだけど、他の人にはそれが色や音など別の感覚として見えるものかもしれない。そういう普段の生活にもある些細な、けれども最も自然で野生的な部分を抽出する作業をじっくり時間をかけて繰り返し探っていた。
この短期間で様々なアーティストとの対話から色々なことを思い出し、気づき、そして自分の思考・身体を更新することができたように思う。

続けたい気持ちはあるけれど、難しいこともある。
まずは活動拠点となる場所。今回は劇場という素晴らし場の提供があった。またコロナの影響もあり恐ろしく贅沢な日数・時間、使用させてもらえた。そしてこれもまたコロナの影響で時間のある状況だったからこそ多くの人たちとワークを共にすることもできた。
ここに自分の作品制作や他の作品への出演、生活のための仕事が徐々に戻ってきた時も続けることはできるのか?またお金はどう準備する?誰が取りまとめるのか?メンバー内でも話し合ったが、定期的に続ける良い方法は具体的には見つからなかった。それでもここで出来た繋がりを保って行くために連絡を取り続けることにした。何か自分ひとりでは出来ないことや、他の人と共有可能な面白いアイデアが浮かんだ時には実現に向けて動いていこうという話になった。

このセルフカルチベート企画は今後のアーティストと劇場との関係を考えていく上でとても意義のあるものだった。特にアーティストが集う場として機能しているdbで行ったことに大きな意味がある。近頃アーティスト主導の企画は増えてきたように思うが、これからの時代さらに重要になってくる。ここからどんなふうに発展していけるか、どんな化学反応を起こすことができるのか、まだまだ持続する価値があると思うので、是非この企画が続いていくことを願っている。

CECを終えて、今はワークのひとつであった『スコアのある即興会』を人前に出してみたいという話が持ち上がっている。
本番を持たないこの集まりから、このような形にことが進んでいくとはあまり想像していなかったけれど、メンバー内で時間をかけて揉み込んだ踊りをその考えを、もっと大勢の人の前に出してさらに刺激を与えたい段階に入ったみたいだ。
今まではすでに本番が設定されていて、そこに向かってせっせと作品制作してきた。納得してようがしてまいが本番にはあるラインに仕上げて上演しなければならない。
でも今回はそうではない。じっくり考えて形作ってきたものを今出すべき時がきたから上演に向かおうとしている。とても健全なこの感覚は、時間はかかるし段階は踏むし大勢の人を巻き込んだ。時間と場所とお金のあるセルフカルチベート企画でないとできないことだと思う。

まだまだ大変な状況は続いていて人に会うのも困難な時代だが、この芽を大切に育て準備をし来たるべき本番に備えよう。

 

 

コンポジション実験クラブ 活動レポート#2



「素材を共有するソロ制作」


レポート担当:中西ちさと

CECとして初めて取り組んだワークが「素材を共有するソロ制作」だ。【このワークは参加者全員が同じテーマから一連の動きを考え、それを共有し制作に使用することで振付の良し悪しではなく、素材の使い方・組み立て方など構成の面に自然と目が行く状況を作り出すことを目的としたもの】である。
流れとしては以下の通り。

1日目
・ワーク提案者の上野さんから提示された言葉から発想した動きの流れを各自制作。
・各自振り付けた動きの流れ全員で共有。

2日目、3日目
・くじでペアを決め、20分でダンサーに振り付ける。(共有した動きを使用)
・振り付けた作品を見せて、それについて振り返りをする。
・振り返り後、また20分で作品を作り直し、提示、振り返りをする。

順番や組み合わせもあみだくじで無作為にえらんだことで、振付家がダンサーを選ぶという過程が排除され、フラットな状態での創作となる。また決められた素材からダンスを作ることはアカデミックな場以外ではあまりないような気がするだが、個人の企画等ではなく、劇場側やプロデューサー側から依頼されて創作する作品にこのワークは生かされるのではないか。いつでも自分の興味のある題材で振り付けするわけではない。しかし、依頼されて作る場合は依頼側が何を求めているか等を考える余地があるが、今回のような場合はそれがないため、いかに素材を自分の興味のあるテーマにはめこむか、自分の領域に素材を引き寄せてこられるかが鍵だと思われる。

見たものに対して、即意見を交換し合う。これはスコアのある即興会でも実践しているものであるが、見たダンスの感想を速攻で言葉に起こすこと、そしてその改善すべき点等を話し合うことで、途中から共同作業感みたいなものがでてくることが興味深かった。他のメンバーが振り付けているものであっても自分や他者の発言によって少なからず作品の方向性に影響を与える。振付家としてと、ダンサーとしてと、観客としての立場をグルグル交換しあう。意見を踏まえ、どんどん新しいことにトライすること、意見を聞きつつもそれには即さず突き詰めていくことで作品が洗練されていったり、迷走していったりした。

三日間で作品を完成させる発表するのは緊張感があり、個人的にはタイムトライアル的にタイマーできっちり時間をはかって創作をすることや、作品を寝かせることができないことがストレスでもあったが、もしかしたら三日間ではなく、週に1度発表、1月に4回程度で完成させる……とかだともう少し手答えが変わるかもしれない。

また幸運なことに照明研究会とのコラボレーションが決まり、約2か月後、照明付きで作品を制作することが叶った。
CECの作品だけでなく、他のダンサーの作品もたくさんある中で、我々の内側からではなく、外側から創作した二作品はどういう風に映ったのだろうか?

※この公演の様子は照明研究会トライアル公演として動画サイト等で配信予定

 

コンポジション実験クラブ 活動レポート#1






CECで重きを置いて実施している実験のひとつに「スコアのある即興会」がある。ここでは、あらかじめ用意しておいたスコアに沿ってダンスの即興会を行った後、みたものに対し、またそれにまつわるダンスについて意見を共有し、より強靱なスコアを探る会として繰り返し行っている。

まず、CECのメンバーで一ヶ月半ほど繰り返し行った。はじめの数日は無音でのデュオとトリオを。次の数日間は音のスコアを決め、デュオ、トリオ、そしてソロ3つを連らせるなど。アクティングエリアを区切り、みる人の座るエリアも各回決めて行った。時には、音に助けを借り、衣装に鼓舞され、飽きと停滞がこぬようスコアを組み立てた。聞くこと、この場を引き受けること、誰かを応援する、助けを呼ぶ、ハケる、隊形を組む、物を入れる、体力がもたない、顔の表情、もうすでにある振付を利用する、音にのる/のらない、音と調和する/しない、みる人と踊る人の距離とそこから考えられる立ち位置、空間、エモさ、演劇的な、抽象的な、言葉を発する、外の音、物を入れる、異なるリズムの人がいる、メリハリなど。踊ったあとは、ここで何が起こっているか、何を見たのかを話す。話すために踊り、踊るために話す。または、”踊る”を”つくる”に言い換えも可能な場だ。

話す時間は、みんなが平等に話す必要はないが、話す気は常に持ち合わせておくことが暗黙のルールにある。踊る気を持ち合わせて立つ即興ダンスの場と同じように、この場では話す気を持っておかねばならない。

わたしの場合、一瞬一瞬のシーンについて話すことが多く、瞬時に全ての流れを踏まえた言葉を出すことが難しい。また、この場に出す”話題のトス上げ”が悩ましい。トスがうまくあがれば、よりエキサイティングな場が広がるはず。話すこと自体も即興であることは言うまでもないが、この会に参加しはじめて日々痛感する課題である。

他メンバーの話を聞きながら、わたしだけでは思いもよらなかった視点や思考があることを興味深く感じる。頷くこともあれば、理解が及ばないこともあって、帰り道やその数日後にもダンスのことを考え続けるきっかけとなって還ってくる。

話し合いを続けていると、メンバーが普段考えていることや、これまでみた作品たち、作家たちを例に話が広がることも多く、何をこれまで見てきてどう感じてきたかを垣間見ることができ、これまたとても興味深い。ダンスについて沢山の時間を割いてじっくり膝をつきあわす場が近年のわたしにはなかったことがよく分かる。

CEC発案者である上野さんは、振付作品のようにみえる即興ダンスが起こるスコアを立ててみたいと言う。しばしば、振付られた作品であっても即興的な要素があると言われるが、即興で踊る時もダンサーが瞬時に自身を振付けていると考えれば、ある意味この会は瞬時に振付け実験(もしくは瞬時に振付訓練)ともいえるのだろうか...?

瞬間振付けがより良く紡げる有効なスコアを練っているのかもしれないし、今後続けていくにつれ、「強靭なスコアとは何か」については異なる見解を見つけるかもしれない。

これまで「スコアのある即興会」では、15〜20分間の即興ダンスを何度も重ねてきたが、次回は30分や60分に挑戦しようという話が持ちあがっている。停滞させずに進められるのか、停滞することもポジティブに捉えられる時間を過ごすことができるのか。そのために組み立てるスコアも後日持ち寄り話し合う予定。
ダンス井戸端会議のレポートは下記サイトからご覧になれます。
https://idobata.space/
「How to make an artistic folder」レポート#2 2020/12/1



今日エリさんと私でヒロさんの作った映像で使用しているテキストから、フランス語から日本語への翻訳についてリハーサルを行いました。それはどれほど言語ごとに意味の違う言葉がどれだけあるのかを実感できてとても良かったです。えりさんとのやりとりはとても面白くてやりがいがありました。テキストのメッセージに不安を感じていたのですが、最終的に互いに理解することかできました。

「How to make an artistic folder」レポート#1 2020/11/23



私たちはヒロさんの御影のご実家でとても素敵な映像編集作業を行いました。私たちはとても熱いお茶を飲みながら仕事をはじめて、この映像のコンセプトについてまた話し合いました。それから、このセッションごとに映像の違う各部をどのように入れていくかを話しました。それは各パートのメッセージのアイデアに沿ってそれを整理する時間であり、決断することはとても難しいです。

しかし、ヒロさんとの共同作業はとてもうまくいっていて、私たちの考えや各パートでなにを感じているかをシェアできてよかったです。そして彼の天才的な考えによってついに映像の編集することができました。私たちは次に進むことができてとても嬉しいですし、ヒロさんのスタジオで1週間前に録音した映像の声を追加してシェアすることができました。フランス語の部分は各パートに応じて簡単に作成することができました。実際に、もっとも難しい部分はフランス語から日本語への翻訳作業です。

 
文化庁委託事業「令和2年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
主催:文化庁/NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)
各地共催・制作・協力:北海道コンテンポラリーダンス普及委員会/ダンスハウス黄金4442/Dance Camp Project/
城崎国際アートセンター(豊岡市)/NPO法人DANCE BOX/FREE HEARTS/広島市安芸区民文化センター/C3/Contact Choreograph Crossing/
一般社団法人ダンスアンドエンヴァイロメント/micelle/あけぼのアート&コミュニティーセンター(札幌)/ボディ・アーツ・ラボラトリー/
NPO法人コデックス/ダンスヒストリー・スタディーズ/Dance New Air(一般社団法人ダンス・ニッポン・アソシエイツ)/
京都芸術センター(Co-programカテゴリーD「KACセレクション」採択企画)
事務局・総合問合:NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)
統括:佐東範一 運営:神前沙織、榊原愛
〒600-8092 京都府京都市下京区神明町241オパス四条503
Tel: 075-361-4685    Fax: 075-361-6225    MAIL:info@jcdn.org    Web: http://www.jcdn.org
  • 文化庁
  • NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)